和裁と洋裁は何が違う?和裁ならではの技術や資格とは?

和裁と洋裁は何が違う?和裁ならではの技術や資格とは?

裁縫には「和裁」と「洋裁」があります。洋服などを仕立てるのが洋裁で、着物や足袋などを仕立てるのが「和裁」ということになります。和裁は古くから日本に伝わる技術であり、和服の伝統と共に受け継がれている技術です。ここでは和裁の技術や伝統、資格などについて解説していきましょう。

和裁と洋裁の違いは?

和裁と洋裁を含めたすべてを「裁縫」と呼びます。裁縫の中で、洋服を仕立てるのが洋裁、和服を仕立てるのが和裁ということになります。その違いを確認しておきましょう。

洋裁の特徴

洋服には様々なデザインがあり、そのデザインに合わせた技術が必要となります。さらに洋服は着る人のサイズに合わせた仕立てが必要になります。着る人のサイズ、デザインを考慮し仕立てるのが洋裁に求められる技術といっていいでしょう。

和裁の特徴

一方、和裁の最大の特徴は、「形が基本的に決まっている」ことと、「サイズは3つに限られる」ということでしょう。着物は反物から仕立てられます。その反物から各パーツを切り出す方法は決められており、決められた切り出し方で生地を切り分けることになります。必然縫い合わせる方法も決まっており、反物から着物を仕立てる場合は、決まった形に、決まった方法で仕立てるということになります。

また、着物には細かいサイズの概念がありません。着物のサイズは、「子ども用」、「女性用」、「男性用」の3種類のみ。こう書くと、決められた方法で、決められた形で、決められた大きさに仕立てる和裁は、あまり技術は必要ないようにも思えます。

和裁に求められる伝統の技術

一見簡単そうに見える和裁ですが、そう簡単に習得できる技術ではありません。工程が単純だからこそ、ひとつひとつの作業に繊細な技術が求められます。そんな和裁の技術について調べてみました。

和裁の基本は手縫い

正式な和裁はすべて手作業となります。日本国内に和裁の技術が確立した時代に、ミシンなどという近代技術は存在していません。当然ながらすべてを手作業で行う必要があるわけです。

もちろん、ミシンで和裁ができないというわけではありません。現代であればミシンでも十分に和裁は可能ですが、ミシンで縫い合わせるにしても、まずは和裁の基本となり各パーツの切り出し方、そして各箇所の縫い合わせ方を知らなければミシンを利用しても着物を縫うことはできないわけです。

パーツの切り出しと図柄のバランス

和裁で最大のポイントとなるのは、反物から各パーツを切り出す時かもしれません。この時、反物のどの図柄をどのパーツに入るように切り出すかで、着物としての仕立て上がり、着付けをしたときの仕上がりが大きく変わります。

見せたい図柄が、着付けをしたときに見せたいポイントに来るようにパーツを切り出す。これができるようになるには、和裁の工程すべてがしっかりと頭に入っていないとできないということになります。

着物の寸法は今でも丈尺寸を使用

着物の仕立ての場合に使われる物差しは、基本的に「尺」で表示される物差しが使用されます。一般的な和裁で使われるのは「鯨尺」。東北地方の日本海側(秋田県や山形県)では今でも「曲尺」が使用されることがありますが、一般的なのは鯨尺です。

ちなみに鯨尺の1尺や約37.9cm、曲尺では1尺=約30.3cmですから、尺の基準が違うだけで大きな違いが出てしまいますのでご注意ください。

鯨尺と曲尺の基準は上記の通りであり、「1丈=10尺」、「1尺=10寸」というのはどちらも共通になります。

和裁の資格

こういった和裁の基本的な知識と技術を認可する国家資格が、「和裁技能士」という資格です。この国家資格について解説しておきましょう。

認定は国家・発行は都道府県知事

和裁技能士の資格は国家資格である「技能検定」の一種であり、国が認めた資格ということになります。この資格の認定試験を実施するのは各都道府県知事であり、試験の日程や会場などは各都道府県に問い合わせることになります。

1~3級が存在

和裁技能士の試験は技能試験と筆記試験で行われており、1級~3級まで存在しています。3級でも技能試験がありますので、まったく知識がない状態では取得の難しい資格と言っていいでしょう。

2級の資格を取得すると、「職業訓練指導員(和裁科)」の資格試験において実技試験が免除に、さらに1級の資格を取得すると関連学科の試験も免除となります(※指導方法に関する学科試験に合格する必要あり)。また、1、2級の資格取得者は、実務経験なしで指導員試験を受験することが可能となっています。

まとめ

和裁と洋裁は何が違う?和裁ならではの技術や資格とは?

和裁と洋裁は使う道具も、寸法の表記も、裁縫や生地の切り出しの方法も大きく違う裁縫技術になります。
洋裁ができるからといって、簡単に和裁ができるものではありません。

また、和裁はそもそも反物など素材が高価な場合が多く、信頼できる和裁の技術を持つ職人に任せないと、せっかくの素材が台無しになってしまう危険性があります。

「柊和裁所」では経験豊富な和裁士が、しっかりお客様と向き合い、お客様の希望に沿える最善の技術を駆使して着物の仕立てを提供させていただいております。店主は定期的に生徒様を募集し和裁教室も行っており、和裁の研究はもちろん、普及活動も行っているほどです。

お持ちの着物の仕立て直しや、寸法直しも承っておりますので、和裁や着物の仕立てについて、どこに相談すればいいのか分からないという方は、ぜひ一度ご相談ください。