体型に合わせて着物は直せる!寸法直しと仕立て直しの違いは?

体型に合わせて着物は直せる!寸法直しと仕立て直しの違いは?

着物に限らず、洋服でもサイズが合わなくなればサイズを直すか、買い替えるかということになります。洋服であれば買い替えることが中心になるかと思いますが、着物の場合高価な物が多く、簡単に買い替えることができません。そんな方にオススメなのが着物のお直し。そんな着物のお直しについてまとめてみました。

着物の直しは2種類存在

一般的に着物のサイズを直す方法は、「寸法直し」と呼ばれる手法と「仕立て直し」と呼ばれる手法の2つが存在します。同じような印象をお持ちかもしれませんが、それぞれ目的に違いがありますので覚えておきましょう。

寸法直しは部分的なお直し

着物を仕立てるにあたっては、様々なサイズを測る箇所が存在します。このサイズ計測をする場所ごとに個別に調整するのが寸法直しになります。「裄(ゆき)」、「袖巾」、「袖丈」、「身丈」などを個別に調整するのが寸法直しであり、ある程度の幅で大きくも小さくもすることが可能です。

袖が長い、身丈が短いなど、着物を着るにあたって気になる部分を、着る方の寸法に合わせて調整するのが寸法直しということになります。

仕立て直しは作り直し

一方仕立て直しは着物を一度すべて解き、反物の状態に戻してから、改めて作り直す作業をいいます。もちろん着物を解いた分の布の量で作れるサイズにしか作り直せません。仕立て直しはピンポイントな部分を調整するのではなく、新たな物に作り直すことと覚えておきましょう。

寸法直しでどの程度の調整ができる?

着物を美しく着られるように調整するためには、寸法直しを依頼する必要があるということになります。では、寸法直しで調整できるのはどの程度の範囲になるでしょうか。

仕立てた状態の着物は寸法直しができる

着物の寸法直しは大きくすることも、小さくすることも可能です。小さくする分には着物の揚げなどを折り込めばいいわけですが、大きくするにはどうすればいいでしょう。寸法を大きくすることができるのは、お手持ちの着物に寸法を伸ばせるだけの余白、つまり「折り込み」の部分がある場合に限られます。

一般的に着物を作る時は、後々寸法を伸ばすことを想定し、ある程度折り込みを用意しておきます。折り込んである部分の寸法に関しては、着物次第ではありますが、身丈であれば揚げに「2寸~3寸(8~10センチメートル)」程度折り込んであるものです。

つまり、寸法直しで調整できる範囲としては±8センチメートル程度が一般的ということになります。

寸法直しはどうやって行われるのか?

寸法直しの手順は、まずこの「折り込み」がどの程度あるかの確認からになります。すでに3寸程度の折り込みがある場合、折り込みを出せば大きくできますし、生地を裁断すれば小さくできるということになります。

折り込みがすでにない場合は、現状以上寸法を大きくすることは難しくなります。寸法を小さくする場合は、2寸以上小さくする場合を除けば折り込みを作ればいいだけですので、問題ないということになります。
折り込みの確認が済んだら実作業に移ります。

洗い張りの後に寸法を調整し縫い合わせる

折り込みのサイズを確認し、寸法直しの計画ができれば実作業です。寸法直しは部分的なサイズ調整ですから、必要な部分のみ解くことになります。

縫い目を解いたら続いて生地を洗浄します。生地を水で洗浄する工程を「洗い張り」といい、着物を美しく、また織り込んでいた部分のしわを伸ばすために行います。洗い張り後、生地を乾かし、事前に建てた計画通りに寸法を調整したうえで着物を縫い直します。これで寸法直しの基本行程は完了です。

まとめ

体型に合わせて着物は直せる!寸法直しと仕立て直しの違いは?

着物の寸法直しの工程を非常に簡潔に書いてしまえば、「解いて」、「水洗いして」、「縫い合わせる」という3つで完了します。しかし寸法直しを行うには、着物についての詳しい知識や、様々な技術に精通している必要があります。

洋装と違い、和装の場合仕立てられた時期や地域によって、様々な仕立て方法が存在します。寸法直しを行う職人は、「着物を一目見てどのような仕立ての方法が用いられているのか?」「着物の状態はどうか?」「生地の状態は寸法直しに耐えられるのか?」などを判断できないといけません。

「柊和裁所」では、熟練の和装士が着物の状態をしっかりと確認し、さらにお客様から細かくヒアリングすることで、最適となる方法で寸法直しをするように心がけています。お客様の希望で、寸法を大きくする、小さくするのは当然ですが、実際にお客様が着物を着た時にどう見えるかをきっちり説明し、お客様の希望に沿いつつ、さらに着物が美しく見える修繕を心がけています。

もちろん作業前に見積もりで作業内容と必要な費用、時間をきっちりとご提示します。お客様が見積もり書の内容に納得した上で作業を開始。万が一寸法に間違いがあれば当然ですが再調整も承ります。着物は世代を超えて長く着続けられる大切な財産です。できるだけ着物に悪影響が出ないよう、大切に寸法直しをさせていただきますので、ぜひ一度ご相談ください。