着物のお手入れって?

それは、着用時間とその日の気候によってかなり変わってしまいます。
私達の” 汗 ”には、水分以外にミネラルが案外多く含まれているんです。
実はこれらのミネラルが着物には大敵なんですよ!
時間が経つと「黄ばみ」になり、次第に色が濃くなる「黄変(おうへん)」という変色シミになってしまいます。
その様にならないためにも、一度着た着物には「汗抜き」のお手入れが必要です。
家でできる汗抜き方法は、一回の着用で1日~2日以上、汗をかいた場合等は3日~4日ほどの陰干しを行って、水分を完全に飛ばします。
室外の場合は、直射日光があたらず風通しの良い場所 室内の場合は、
窓からの直射日光が着物にあたらない場所 で裾が丸まらない場所に着物を和装ハンガーか物干しにかけてください。
撮影後着物を脱いで帰る方には、着物を畳んでたとう紙に戻すのですが
家に戻ったらやはり影干しをして欲しいところです。
大丈夫だろう とそのままにされると着物もお肌と一緒で後から”しみ”が浮きでてくる可能性があります。
嫌ですよねぇ〜
着物の「シミ・汚れのチェック」も大切
陰干しやブラシ等で着物のお手入れをしている間には、着物全体の汚れをていねいにチェックしましょう。「汚していないはず」と思っていても、意外なところに汚れが付いていることがあります。
◯汚れやすい箇所
よくあるのが皮脂汚れとファンデーション汚れです!


袖口写真
冬場はハンドクリームなどを使用すると袖口に皮脂汚れが着くことがあります。
何年か経つと袖口が黒く変色していることも・・・
衿元のファンデーション汚れは着用時に見えてしまうこともあり、早めの対処が重要です。
通常の丸洗いでは表面の汚れしか落ちてこないためファンデーション汚れはシミ抜きをプラスで行う必要がある場合もあります。
中には漂白作用のあるファンデーションですと強い汚れになってしまうことも。
振袖用の長襦袢には刺繍半衿をつける方がほとんどですが、付け替えが必要になる可能性もあります。
長襦袢の袖口も半衿もきものに比べて生地が薄いため、染み抜き自体が困難な場合もあります。
まずは早めの診断とお手入れが大切になります。
長襦袢の半衿はどうしても目につきやすいので、汚れや変色してきたろ交換する”消耗品”と考えておいたほうが良いでしょう。
●陰干しで汗・湿気を取り除く
着物は吸水性や吸湿性の高い親水性繊維でできているため、汗や湿気の影響で縮んでしまう恐れがあります。そのため、しっかり陰干しして湿気を取り除くことが大切です。
着用後は着物用のハンガーにかけ、室内で一晩陰干します。直射日光だけでなく、蛍光灯の明かりでも生地を傷める場合があるので、カーテンを閉め、電気を消した状態で陰干ししましょう。
「陰干し」のお手入れ手順
1)着物をかける場所を決めます。屋外の場合も屋内の場合も、直射日光が当たらないことが第一。また屋内の場合には、窓を開けて換気をします。
2)きもの専用のハンガーに着物をかけて、形を整えます。
3)3時間~半日程度は空気にあてて、湿気を飛ばします。(雨の日の着用後等には丸一日程度干します)

【注意点】
※室内の湿度が高すぎる場合は、エアコン・扇風機等を使って除湿してください。
※屋外に干す場合は太陽の動きで日光が当たらないよう、着物を時々動かしましょう。直射日光に当たると、短時間でも着物が褪色(色あせ)や変色を起こすことがあります。
「ブラシ」でホコリを落としましょう
陰干しを十分に行ったら、今度は「ブラシ」で着物についた細かなホコリを落としていきましょう。
屋外での着用で付いたホコリや排気ガス等の微粒子をそのままにしておくと、着物を傷める大きな原因になります。虫食いの原因になる「虫」を払うことも大切です。
【きもの用ブラシの選び方】
1)豚毛・馬毛等の獣毛でできていること
2)毛質がやわらかいこと
3)「シルク対応」であること
4)和装専用と明記されていること
ブラシを使った振袖・着物のお手入れ方法
1)きもの用ハンガーに着物をかけて形を整えます。
2)着物の下側には新聞紙等の大きめの紙を敷いておきます。
3)衿元から肩にかけて、布目に沿ってブラシを一方向に動かします。
4)肩→袖(そで)→身頃(みごろ)の順にブラシを動かしていきます。
5)裾(すそ)はブラシを横方向(ただし一方向)に動かして、砂汚れ等を落とします。
6)裾の裏側も、同様にブラシを横方向に動かしながら汚れを払い落とします。
7)裾の縫い目の部分にもブラシをかけます。
8)下に敷いた新聞紙は丸めて廃棄します。
【ブラシを使う時の注意点】
※ほこりを外に出せるように、ブラシを持つ手に軽くスナップをきかせて払い出すのがコツです。
※ブラシを両方向にゴシゴシ動かしたり、強くこするのは厳禁です。
※ブラシによっては、金箔部分・刺繍部分・レース地等には使用できないことがあります。取扱説明書をよく確認しましょう。
ブラシが手に入らない時には?
「和装ブラシが手元に無い」「今から買うのだと、お手入れに間に合わない」…そんな時には、ブラシを「タオル」で代用してもOK。ただしタオルの場合には、以下のようなものを必ず使いましょう。

【タオルで代用する場合】
1)白もしくは薄い色のタオルを使う
2)事前に何度か洗濯をして、パイルの抜けを防ぐ
3)できるだけ柔らかい品質の製品を使う
4)使い古しの固くなったパイルのものは避ける
着物の「シミ・汚れのチェック」も大切
陰干しやブラシ等で着物のお手入れをしている間には、着物全体の汚れをていねいにチェックしましょう。「汚していないはず」と思っていても、意外なところに汚れが付いていることがあ着物の
着物ののしみ抜き自己流は危ない。専門店に依頼しましょう。

ドライクリーニングでは食べこぼし・黄変・ワイン・コーヒー・醤油・ボールペン・口紅・・・などのシミは落ちません。
また、自分でシミヌキを行うと染料や顔料の色落ちや金彩が痛んだり、摩擦による着物の毛羽立ちやヘタリ(着物へのダメージ)がおこったりします。
シミはなるべく早く専門家へ相談し、その時に付いたシミの正体を出来る限り正確に伝えることが大切です。
【自分で処理できないシミとは】
・シミが大きい(直径2~3センチ以上ある)
・シミの原因がわからない
・いつ付いたかわからない古いシミである
・着物が正絹(シルク)でできている
・金箔・刺繍・レース等の特殊加工のある場所にシミがある
上記のようなシミの場合には、ひとまず着物のその他の部分に汚れが広がらないように、キッチンペーパー等を重ねておきます。そして早めに専門店に「シミ抜き」を依頼しましょう。
しばらく着ない着物・振袖はクリーニングへ
陰干しやホコリ取り・汗抜きをていねいに行って、シミも特についていなかった…この場合には、着物のお手入れは以上でOKです。きちんと畳んでしまっておけば、シーズン中には再度キレイな状態で着物を着ることができるでしょう。
ただし「しばらく着用の予定が無い」という場合には、着物を一度クリーニングに出した方が安心です。基本的な着物のお手入れだけでは、繊維の中に残る皮脂等を取り去れません。半年~1年以上の長期保管の間に、カビの繁殖や変色等が起こる恐れも高いのです。
特に「カビの繁殖」は、着物の大きな問題。現代の日本のマンションや一戸建ては昔の家屋に比べて密閉性が高く、それだけカビが生えやすいのです。保管中の通気に気を使うことも大切ですが、「カビの元」を取り除いておくことも重要になります。
【クリーニングに着物を出した方が良い場合】
1)着用中に汗をたっぷりかいた場合
2)着物にシミ・汚れが付いているのが見つかった場合
3)シーズン中にはもう着物を着る予定が無い場合
上記の3つにあたる場合には、振袖・着物はクリーニングに出しましょう。
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