着物にはに欠かせない「帯」。実は一口に帯と言っても、着用のシーンによっていくつかの種類があります。近年は目にすることも少なくなった豪華な丸帯から、日常でカジュアルに締める半幅帯まで、帯の種類についてご紹介します。 成人式で女性が華やかに結んだ袋帯でしょうか。それとも男性が結ぶ細い角帯でしょうか? 同じ帯という名前でも、形はさまざまです。
着物の帯には、さまざまな種類があります。種類によってサイズなどの特徴が異なるのに加え、いわゆる「格」の高さにも差があるため、どのようなシーン・どのような着物に用いるかを考慮し、適切な帯を選ぶことが大切です。
また、それぞれの帯に合う定番の結び方や、アレンジした結び方を知っておくと、いざというときに迷わないでしょう。
この記事では、代表的な着物の帯の種類や、種類別の帯の結び方を解説するとともに、着物と帯の適切な組み合わせについても紹介します。着物初心者の方や、これから着物を着る予定がある方などは、ぜひ参考にしてください。
着物の帯はおもに4種類
着物の帯には、大きく分けて「丸帯(まるおび)」・「袋帯(ふくろおび)」・「名古屋帯(なごやおび)」・「半幅帯(はんはばおび)」の4種類があります。とはいえ、名称を聞いただけでは、どのような形・特徴の帯なのかイメージしにくいかもしれません。
ここでは、それぞれ帯の特徴などを画像とともに紹介します。
丸帯(まるおび)

丸帯が使われるようになったのは江戸時代の中期で、戦前までは最も格の高い第一礼装の帯として用いられてきました。丸帯はどのような結び方をしても表に柄が出る、とても豪華な帯です。現在では一部のフォーマルシーンで用いられています。
丸帯は巾 約68cm 長さ約448cmで織られ、仕立てると表裏ともに柄があります。
今日では振袖に使用される事がほとんどです。
白無垢(しろむく)花嫁が結婚式のみで着用できる着物です。刺繍を含め、すべてが白色で仕立てられています。
色打掛(いろうちかけ)花嫁が結婚式や披露宴で着用する着物です。白無垢とは対照的に、鮮やかな色・華やかな刺繍が施されています。
黒留袖(くろとめそで)新郎新婦の母親や仲人婦人が、結婚式・披露宴などで着用する着物です。既婚女性が着用する着物のなかで、最も格が高いとなっており、黒色の生地に五つ紋が入っています丸帯は帯の幅が広いため、幅を半分に折って仕立てます。表地と裏地の両面とも柄が見える仕立て方なので、どのような結び方をしても、きちんと柄が出るのが特徴です。金糸や銀糸が用いられているものも多く、豪華な印象を与えるでしょう。
丸帯の具体的なサイズの目安は、次のとおりです。
- 仕立て前:幅約60~64cm×長さ約400~450cm
- 仕立て後:幅約30~32cm×長さ約400~450cm
◇袋帯(ふくろおび)
丸帯に次いで格の高い帯が、袋帯です。表地と裏地の生地を袋状(筒状)に縫い合わせて仕立てることから、袋帯という名前が付きました。袋帯は、先述した黒留袖のほか、次のような着物に合わせます。

色留袖(いろとめそで)黒留袖は、黒色の生地で既婚女性が着用する着物なのに対し、色留袖は、黒色以外の生地で、既婚・未婚を問わず着用できる着物です。上半身は無地で、裾のみに柄が入っています
色無地(いろむじ)黒色以外の一色で染められた着物です。名前のとおり、柄はありませんが、生地自体に「地紋」が織り込まれていることがあります。
訪問着(ほうもんぎ)フォーマルシーンからカジュアルシーンまで、幅広く着用できる着物です。色留袖と異なり、訪問着は裾だけでなく上半身にも柄が入っています
基本的には結婚式、披露宴やパーティなどのフォーマルシーンで着用できる帯で、合わせる着物には振袖、留袖、訪問着、付け下げ、色無地など柄によって幅広いシーンに合わせられます。金銀糸の入らない「しゃれ袋帯」では小紋や紬に合わせる場合もあります。
巾 約31cm 長さ 約448cmで織られ、表には柄があり、裏は無地になっています。締めると二重太鼓になり、用途も広い帯です。
◇名古屋帯(なごやおび)
付け下げ(つけさげ)左肩にワンポイントの柄が入っている着物です。合わせる帯によって、フォーマル・カジュアルな場面を使い分けられます。
小紋(こもん)色無地や付け下げより格が低く、普段着・おしゃれ着として着用する着物です。生地全体に柄が入っており、柄の雰囲気によって着こなしを楽しめます
紬(つむぎ)紬糸を使用した、織りの着物です。小紋と同様に、普段着・おしゃれ着として着用します。
御召(おめし)御召縮緬(おめしちりめん)の略で、織りの着物のなかでは最も格が高いものです。無地のものから柄物まで、幅広いバリエーションがあります。
袋帯がフォーマルシーンをメインに活躍するのに対して、なごや帯はお稽古やちょっとしたお出かけなどカジュアルシーンで活躍する帯です。色無地、小紋や紬の着物に合わせることが多いですが、すっきりとした軽めの柄の付け下げなどに合わせ、改まった雰囲気に装って楽しむこともできます。袋帯より短く軽いので、袋帯より手軽で、気軽に使いやすい帯です。
なごや帯は、大正時代に名古屋で考案されたといわれていますが、広く使われるようになったのは昭和に入ってからのこと。
なごや帯には「九寸なごや帯」と「八寸なごや帯」があります(写真は九寸なごや帯)。仕立てたら同じサイズになるのですが、製造方法の違いからこのように呼ばれていて、 九寸なごや帯は、織りあがった時の巾が 約34cm=九寸であることから、九寸なごや帯と呼ばれます。対して八寸なごや帯は巾 約30cmで織りあげられるため、八寸なごや帯と呼ばれます。
当社は九寸なごや帯の生産が主流です。
※一寸=3.78cm ( 尺には曲尺/かねじゃく と 鯨尺/くじらじゃく があり、和装関係は一般的に鯨尺を使用。曲尺:1寸=3.03cm 鯨尺:1寸=3.78cm
半幅帯
なごや帯よりもさらに普段着として、小紋をはじめとする様々な素材のカジュアル着物に締められます。また、色々な結び方の工夫ができるのも半幅帯の特徴で、最近では様々な結び方に対応した長さや形の半幅帯も登場しています。浴衣に着用されることが多い帯ですが、最近は日常着などにも通年着用されています。
巾約16.5cm、長さ約400cmで織られます
角帯
男帯(男性用の帯)は、兵児帯(へこおび)と角帯に分類されますが、兵児帯が普段着(紬や浴衣)などに用いられるのに対し、角帯は袴下などや改まった時に着用します。現在では、角帯も浴衣や普段着に着用されることが増え、基本的には男性の着物すべてに角帯を合わせることができますが、こちらも柄や素材などによって使い分けることが多いようです。男性は袴を着用することもありますが、袴の下にもこの角帯を締め、その場合は「袴下(はかました)」と呼ばれることもあります。
巾 約21cm 長さ約440cmで織られます角帯
#丸帯#名古屋帯#袋帯#角帯






